ローマ教皇に特別謁見した話と【漢魂プレミアムスモーク5種】(後編)

ローマ教皇と集合写真

この記事を書いた人

中岡正三

(年齢:60代 出身:高知県) 水産系の大学を卒業後入社、工場長を務めたのち2003年より代表就任。美味しいものづくりにこだわったヒラオの味をKaoriでお届けします。学生時代はアーチェリー部に所属、ゴルフを経て現在は釣りに没頭中。

→前編を読む

パッケージ決定!

2018年7月初めに【漢魂プレミアムスモーク5種セット】を献上品にすることが決まりましたが、謁見の日は同年9月12日です。軽く返事をしたものの、あと2ヶ月しかありません。パッケージの製作が急務です。

当初【漢魂スモークかんぱち】が献上品に決定していた際に、メイドインジャパンをイメージしてもらえるようにデザインを和紙柄にした上で漢字を使ったパッケージをと考えて製作していましたので、同一デザインで色違いにしよう!ということになりました。

漢魂スモークかんぱち。
漢魂スモークかんぱち

そこで、かんぱち・真鯛・カジキ・帆立・サーモン、それぞれの魚種に合うイメージの色を当てはめていき…ゴレンジャーのように賑やかなセットになりました。

漢魂プレミアムスモーク5種。
漢魂プレミアムスモーク5種

パッケージが出来上がり、献上のための桐箱も用意して、いよいよ出発の日が近づいてきました。

まさかの

関西空港発の便を予約していたので、大阪に住んでいる私は当日関西空港で宮崎の皆様と落ち合う予定でした。ところが旅行会社の都合で成田空港に変更になり、成田に前乗りすることになりました。出発が1日早くなったと不満に思っていたところ、8月に台風21号が近畿地方を直撃!

関西空港では空港に渡る橋脚に貨物船がぶつかって渡れなくなり、滑走路が水浸しになって使えなくなったりと甚大な被害がでていましたので、もし成田空港への変更がなければ出発が遅れていたかもしれません。

とんとん拍子に全てが進み、まるで神様が味方してくれているように感じたものです。

感動する人。

新たな課題

その代わりに発生した問題が…。【漢魂プレミアムスモーク5種セット】は冷凍品なのです。絶対に溶かすことなく運ばなければなりません。

成田に前乗りになったことで、出発からローマ到着まで丸2日はかかることになります。国内ならクール便で発送すれば済むことですが、届け先がローマとなるとそう簡単にはいきません。

社員みんなで策を捻り出し、ドライアイス屋さんに相談するという案に辿りつきました。すると少し大きめの発泡スチロールを用意してくれ、この中に商品を入れて、ドライアイスを目一杯に詰め込めば大丈夫というお墨付きをいただきました。

これで心配の種はなくなりました。出発の準備は万全です。ホテルに到着したら調理場の冷凍庫で預かってもらう手筈になっていますので、それまではドライアイスに頑張ってもらいましょう!

ドライアイス。

ローマへは成田空港から出発してヘルシンキ経由で向かいます。

荷物を預けてトランジットで行方不明になると取り返しがつきませんので、念には念を入れて、発泡スチロールをトランクに押し込み、ハンドキャリーで機内に持ち込むことにしました。

羽田空港で宮崎の方々と合流し、まずは成田空港近くのホテルで一泊します。

おじさん、舞い上がる

おわかりだと思いますがローマ教皇に献上品を届けるなんて、誰もが初めての経験です。その上どんな場所でお会いするのか、どのようにお渡しするのか、誰も詳しい話を聞いていないので想像でどんどん話が膨らみます。

屋内なのか、屋外なのか。直接手渡せるのか、あちらの代表が手渡すのか、そもそも後で届けるのか…。様々なパターンに考えを巡らせている内に、「直接手渡すチャンスがあれば目の前でパッケージを開けて食べてもらおう!」などと修学旅行の晩のような舞い上がったテンションになり、桐箱の中にお皿とフォークを忍ばせるという暴挙に。しかも最終決定として私がローマ教皇に燻製を差し出す担当に指名されてしまいました!

お皿とフォークの画像。

ひと晩のそんなこんなを経て、さあ出発です!
便の遅れもなくヘルシンキでEUに入国し、飛行機を乗り換えてローマに向かい、ホテルへは9月10日の夜に到着しました。
溶けないか心配されていた【漢魂プレミアムスモーク5種セット】も、凍ったまま無事に冷凍庫へ向かいました。

弾丸ツアー

翌11日は、次の日の献上の準備や関係者への挨拶で理事達がバタバタしているのを横目に、私は準備の合間を縫って他の献上品の会社の方々と弾丸観光へ。

コロッセオ
ナヴォーナ広場
パンテオン
スペイン広場の階段/トレヴィの泉/真実の口

コロッセオを外から眺め、ナヴォーナ広場でジェラートを楽しみ、パンテオンはしっかり中を見学し、スペイン広場の階段を見て、「また来られますように」とトレヴィの泉で後ろ向きに5円玉を投げ入れて、最後に丸い顔の口の中(真実の口)に手を入れてきました。

ガイドさんおすすめの、カルボナーラ発祥の店で昼食にいただいたボルチーニ茸は今でも覚えているほど美味でした。

元祖カルボナーラとボルチーニ茸。
元祖カルボナーラとボルチーニ茸(左上)

ガイドさんと妄言集団

そう、イタリアではローマ在住の日本人女性にガイド兼通訳をお願いしていました。

ところが今回の特別謁見のことを伝えても、そんなことあるわけがない!とまったく信用してくれません。彼女の目には、日本からやってきた特殊な思想のおじさん達が揃って妄言を吐いているようにしか見えなかったのでしょう。「なんであなた方がパパ様(ローマ教皇の愛称)に会えるのよ!?」と相手にしてもらえない状態でした。

ローマ教皇に特別謁見するということは現地の人にとって、日本で考えていた以上に物凄いことのようです。

その上、仕事として会うのではないからと、口頭で指示されるのみだったので物証が何も手元になく信じてもらいようがないのです。当事者の我々でさえ、ここまで来たもののまだ夢うつつのような、宙を浮いているような心持ちだったのですから。

謁見の日

そうして誤解は解けないまま9月12日、謁見の日がやってきました。
カトリック教会の総本山、サン・ピエトロ大聖堂の正面にあるサン・ピエトロ広場で毎週水曜日に行っているミサの前に時間をとっていただき、謁見用の部屋でお会いできるようであることがわかりました。

人がいっぱいのサン・ピエトロ広場

ミサが10時からでしたので、9時前にはバチカン市国に到着しました。ガイドの女性はサン・ピエトロ広場に到着後もまだ一般謁見に並んでいる列を指さして、「早く並ばないと後ろの方になっちゃうよ!」と言っています。彼女はもう完全に我々が妄想に憑りつかれているおじさんの集団であると判断したのです。

サン・ピエトロ大聖堂
厳かな雰囲気のサン・ピエトロ大聖堂

彼女の言うことはやり過ごし、9時過ぎに東京から来られた神父さんと大学教授に合流し、謁見用の部屋に向かいます。

謁見の間

案内されたのはバスケットボールが余裕でできる程天井が高く、広い部屋で、教皇が座られる椅子がありました。その前方のハの字に並べられた椅子に座り、献上品は部屋の壁側に設置された机の上に並べて置くよう指示があり、当然言いつけを守らない不届き者はいませんでした。

謁見の間。
謁見の間で待機中

部屋の奥の方に大きく立派な扉がありましたので、そこから入室されるものだと思い全員で注目していたのですが、先ほど我々が入ってきた扉が何の前触れもなく開き、ローマ教皇が数名の枢機卿と入ってこられました。 \ え!そこなの!? / と皆が思いをひとつにした瞬間でした。

特別謁見

そんなこととは知らないローマ教皇はニュースで見るのと同じようにひとりずつ穏やかに握手をして席につかれました。

ローマ教皇と握手しているところ。
ついにローマ教皇フランシスコ台下に謁見(緊張しすぎて笑顔を作れません)

ローマ教皇からのお言葉をいただき、理事長が会からの親書を読み上げ、ローマ教皇から直接ひとり一人に記念のメダルを手渡していただきました。

本来であればここまでで終了なのですが、今回は献上品のそばまで来ていただき説明をさせていただけることになりました。

ローマ教皇に【漢魂プレミアムスモーク5種】の説明をしているところ。
漢魂プレミアムスモーク5種の説明中(まだ緊張しています)

【漢魂プレミアムスモーク5種セット】については、「日本人が長生きなのは美味しい魚をたくさん食べているからです。パパ様も日本の美味しい魚介類の燻製を召し上がって長生きしてください。」とご説明させていただきました。このタイミングです!すかさずパッケージを開き、お皿にのせて「さあ召し上がれ!」

……と出来るはずもなく(笑)、底に隠れたお皿とフォーク付きで献上してまいりました。

思いのほか時間をとっていただいたことから通常のミサの時間がかなり迫っていたローマ教皇は、最後にもう一度ひとり一人と握手を交わして大慌てでミサに向かわれました。

フレンドリーな暖かい雰囲気の方で、「人気のあるパパ様ですよ。」とガイドの女性がおっしゃっていたのがよくわかりました。
さて、そのガイドさんですが、部屋から出て頂戴したメダルを見せると、ようやく信用して喜んで写真を撮っていました。もう思い残すことはありません。

ローマ教皇より頂戴したメダル
ローマ教皇からいただいたメダル

今回の特別謁見の様子は、当日のバチカンの報道で後述のように伝えられています。

教皇フランシスコは、9月12日、日本の「天正遣欧使節顕彰会」の関係者とお会いになった。
バチカンのパウロ6世謁見ホールの小ホールで行われた謁見で、教皇は関係者たを温かく迎えられた。
この席で教皇は、「皆さんのこの訪問を機会に、来年、訪日したいと、わたしが望んでいることをお伝えしたいと思います。実現を期待しましょう」と述べられた。
教皇は、公式の挨拶の後、この言葉をサプライズとして加えられた。
教皇はこの出会いで「宗教や文化、経済界が、より人間的で、統合的エコロジーを特徴とする世界の構築のために、平和的に協力できるように」と語られた。

この謁見の翌年2019年11月にフランシスコ教皇はローマ教皇としてヨハネ・パウロ2世以来、38年ぶりに来日されました。

※ローマ教皇の発言は重く、また、「希望の述べ方」によって実現させたい度合いが変わるそうで、このサプライズ時の言い回しは何としても実現させたいという強い意志を表すものだったそうです。

イタリア新聞

以上が【漢魂プレミアムスモーク5種セット】誕生の秘話となります。

色々なご縁が重なり偶然生まれた商品でしたが、ありがたい事にこの後、2020年に5種の内の【漢魂スモークかんぱち】が「全国水産加工品総合品質審査会の農林水産大臣賞」を受賞し、更に2021年には【漢魂プレミアムスモーク5種セット】が「日本ギフト大賞2021 都道府県賞 大阪賞」を受賞いたしました。

全国水産加工品総合品質審査会 農林水産大臣賞を受賞した【漢魂スモークかんぱち】
漢魂スモークかんぱち
全国水産加工品総合品質審査会 農林水産大臣賞 受賞の賞状
全国水産加工品総合品質審査会 農林水産大臣賞 受賞
日本ギフト大賞2021 都道府県賞 大阪賞を受賞した【漢魂プレミアムスモーク5種セット】
日本ギフト大賞2021 都道府県賞 大阪賞 受賞

一流のホテルなどでも使用されており、確かな品質を評価戴いている【Kaori-熏】の燻製品を製造・運営する(株)ヒラオの燻製品は、お子様からご年配の方まで、どなた様にも安心してお召し上がりいただきたいという信念の元に、まごころ込めて美味しさを生み出す燻製職人達によって作られています。

スモークサーモン製造の様子
スモークサーモン製造の様子

職人の熟練の手技と、50余年燻され続けた燻製窯にしか作れない薫り豊かでお刺身を感じるしっとりとした食感。しっかりと燻製されているにも関わらず、ゆっくりと時間をかけているために煙独特のいがらっぽさもありません。

スモークサーモン

安全で美味しい燻製品をお届けしたいという想いから、手間を惜しまず、時間をかけて、その上燻製窯の数にも限りがありますので大量生産は叶いませんが、そのためにお届けできる「本物の味」がここにはあります。

大切な方への贈り物としても、ご自身へのご褒美としても喜んでいただける逸品をどうぞご賞味ください。

「ローマ教皇が食べたのと同じもの食べたよ!」と自慢もしていただけますよ。

→前編を読む

この記事を書いた人

中岡正三

(年齢:60代 出身:高知県) 水産系の大学を卒業後入社、工場長を務めたのち2003年より代表就任。美味しいものづくりにこだわったヒラオの味をKaoriでお届けします。学生時代はアーチェリー部に所属、ゴルフを経て現在は釣りに没頭中。