ローマ教皇に献上した燻製「漢魂プレミアムスモーク5種」誕生秘話(後編)

ローマ教皇に特別謁見した際の集合写真

この記事を書いた人

中岡正三

(年齢:60代 出身:高知県) 水産系の大学を卒業後入社、工場長を務めたのち2003年より代表就任。美味しいものづくりにこだわったヒラオの味をKaoriでお届けします。学生時代はアーチェリー部に所属、ゴルフを経て現在は釣りに没頭中。

2018年9月、私たちは「漢魂プレミアムスモーク5種」を携え、ローマ教皇フランシスコへの特別謁見のため、バチカン市国へ向かいました。

前編では、宮崎県産カンパチの燻製が献上品に選ばれ、「漢魂プレミアムスモーク5種」が誕生するまでをご紹介しました。

後編では、献上品をローマまで運ぶための準備から、2018年9月12日に迎えた特別謁見当日までを振り返ります。

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献上品「漢魂プレミアムスモーク5種」のパッケージ決定!

2018年7月初め、「漢魂プレミアムスモーク5種」をローマ教皇への献上品とすることが決まりました。

しかし、謁見の日は同年9月12日。

あと2か月しかありません。

急いでパッケージを仕上げる必要がありました。

もともと「漢魂スモークかんぱち」が献上品に決まった段階で、「日本らしさが伝わるデザインにしよう」と、和紙柄と漢字を使ったパッケージを作っていました。

和紙柄と漢字を使った漢魂スモークかんぱちのパッケージ
最初に完成していた「漢魂スモークかんぱち」のパッケージ

そこで、5種すべてを同じデザインで統一し、それぞれの魚種をイメージした色違いにすることに。

かんぱち・真鯛・カジキ・帆立・サーモン。

5色が揃うと、思いのほか賑やかで、まるで“ゴレンジャー”のようなセットになりました。

5色のパッケージで揃えた漢魂プレミアムスモーク5種

パッケージが完成し、献上用の桐箱も準備。

いよいよローマへ向けて動き始めます。

まさかの成田発へ――台風21号と関西空港

当初は関西空港から出発し、宮崎の皆さんとは空港で合流する予定でした。

ところが、旅行会社の都合で出発地が成田空港へ変更に。

「わざわざ成田まで前乗りか……」

そう思っていた矢先、2018年9月4日、台風21号が近畿地方を直撃しました。

関西空港では連絡橋に貨物船が衝突し、滑走路も冠水。

大きな被害が出ました。

もし出発地が関西空港のままだったら、予定どおりローマへ向かえていたかどうか分かりません。

結果的には、成田発への変更に助けられた形となりました。

あまりにも物事がうまく進んでいくので、当時は「神様が味方してくれているのでは」と感じたほどです。

冷凍の献上品をローマまで運ぶという課題

ところが、もうひとつ大きな問題がありました。

漢魂プレミアムスモーク5種」は冷凍品です。

ローマまで絶対に溶かすわけにはいきません。

成田への前乗りも含めると、出発してからローマのホテルに着くまで約2日。

国内ならクール便で発送できますが、海外となるとそう簡単にはいきません。

社員みんなで知恵を出し合った結果、ドライアイスの専門業者に相談することにしました。

すると、

「少し大きめの発泡スチロールに商品を入れ、ドライアイスをしっかり詰めれば大丈夫」

とのこと。

これでひと安心です。

ホテルに到着後は、調理場の冷凍庫で預かってもらう手筈も整えました。

あとは、ローマまでドライアイスに頑張ってもらうだけです。

冷凍状態を保つために使用したドライアイスのイメージ

ローマへは成田空港から出発し、ヘルシンキ経由で向かいます。

途中で預け荷物が行方不明になってしまっては大変なので、発泡スチロールごとトランクに入れ、手荷物として持って行くことにしました。

ローマ教皇への献上を前に、おじさん舞い上がる

ローマ教皇へ献上品を届けるなど、もちろん全員が初めての経験です。

しかも、

どこで会うのか。

直接手渡せるのか。

誰が説明するのか。

この時点では、詳しいことがほとんど分かっていませんでした。

想像ばかりが膨らみ、

「もし直接渡せるなら、その場で開けて食べてもらおう!」

と、まるで修学旅行の夜のようなテンションに。

そしてなぜか、献上用の桐箱の中にお皿とフォークまで忍ばせることになりました。

皿とフォークのイメージ
「その場で食べてもらおう」と、献上用の桐箱にはお皿とフォークまで忍ばせました

さらに最終的には、私がローマ教皇に燻製を差し出す担当に指名されてしまいました。

そんな少し浮かれた夜を過ごし、いよいよ出発です。

成田空港からヘルシンキを経由し、ローマのホテルへ到着したのは9月10日の夜。

心配していた「漢魂プレミアムスモーク5種」も、しっかり凍ったまま。

無事にホテルの冷凍庫へ収まりました。

特別謁見前日のローマ

翌9月11日は、次の日の献上に向けた準備の日です。

理事の皆さんが関係者への挨拶などで忙しく動く中、私は準備の合間を縫って、ほかの献上品に関わった会社の方々とローマ市内を巡りました。

コロッセオ、ナヴォーナ広場、パンテオン、スペイン広場、トレヴィの泉、真実の口。

短い時間ではありましたが、ローマの街を一気に見て回りました。

ローマ市内で訪れたコロッセオの外観
コロッセオ
ローマ市内のナヴォーナ広場
ジェラートを楽しんだナヴォーナ広場
ローマにあるパンテオンの外観
パンテオンは内部までしっかり見学
ローマで訪れたスペイン広場、トレヴィの泉、真実の口
スペイン広場、トレヴィの泉、真実の口も駆け足で巡りました

途中のカルボナーラ発祥の店で食べたポルチーニ茸は、今でも覚えているほど美味しかったです。

ローマで食べたカルボナーラとポルチーニ茸の料理
ローマで味わったカルボナーラとポルチーニ茸の料理

特別謁見を信じてくれないガイドさん

ローマでは、日本人女性のガイド兼通訳の方に同行していただいていました。

ところが、このガイドさん。

私たちが、

「明日、ローマ教皇に特別謁見するんです」

と話しても、まったく信じてくれません。

彼女の目には、日本からやってきた思い込みの激しいおじさんたちが、揃ってでたらめを言っているようにしか見えなかったのでしょう。

「なんであなた方がパパさまに会えるのよ!?」

と完全に疑われてしまいました。

“パパさま”とは、ローマ教皇を親しみを込めて呼ぶ呼び方です。

現地に暮らす方からすると、ローマ教皇への特別謁見は、それほど簡単には信じられないほど特別なことだったのでしょう。

しかも、仕事として会うのではないからと、私たち自身も口頭で案内されているだけで、手元に証明できるような書類がありません。

ここまで来ても、私たち自身どこか夢の中にいるような気分でした。

2018年9月12日、ローマ教皇特別謁見の日

そして9月12日。

いよいよ謁見の日を迎えました。

毎週水曜日、サン・ピエトロ広場ではローマ教皇による一般謁見が行われます。

今回はその一般謁見が始まる前に時間を設けていただき、謁見用の部屋で直接お会いできることが分かりました。

一般謁見を待つ多くの人々で埋まったサン・ピエトロ広場
一般謁見を待つ多くの人々で埋まったサン・ピエトロ広場

一般謁見は10時から。

私たちは9時前にバチカン市国へ到着しました。

ところが、事情を信じていないガイドさんは、一般謁見を待つ長い列を指さして、

「早く並ばないと、後ろの方になっちゃうよ!」

と言います。

どうやら最後まで、私たちが何か勘違いしていると思っていたようです。

バチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂
特別謁見当日のサン・ピエトロ大聖堂

9時過ぎ、東京から来られた神父さんと大学教授に合流。

いよいよ謁見用の部屋へ向かいました。

ローマ教皇を待つ「謁見の間」へ

案内されたのは、天井が高く、とても広い部屋でした。

中央にはローマ教皇が座られる椅子。

その前には、私たちが座る椅子がハの字型に並べられていました。

献上品は、部屋の壁側に設けられた机の上へ。

全員、緊張しながらその時を待ちます。

ローマ教皇との特別謁見を前に謁見の間で待機する一行
特別謁見を前に、謁見の間で待機する一行

部屋の奥には大きく立派な扉がありました。

当然、そこから入ってこられるのだろう。

全員がそう思い、その扉を見つめていました。

ところが――。

突然、私たちが入ってきた側の扉が開き、ローマ教皇フランシスコが数名の枢機卿とともに入ってこられました。

「え! そこなの!?」

おそらく全員の心がひとつになった瞬間です。

ローマ教皇フランシスコへの献上

ローマ教皇フランシスコは、ニュースなどで拝見するのと同じように、穏やかな表情で一人ひとりと握手をしてくださいました。

ローマ教皇フランシスコと特別謁見で握手する株式会社ヒラオ代表の中岡
ついにローマ教皇フランシスコとの特別謁見。緊張でなかなか笑顔になれませんでした

その後、教皇からのお言葉をいただき、天正遣欧使節顕彰会の理事長が親書を読み上げます。

さらに、一人ひとりに記念のメダルまで直接手渡していただきました。

本来であれば、ここで謁見は終了です。

ところが今回は、献上品を並べた場所まで来ていただき、それぞれについて直接ご説明できることになりました。

そして、いよいよ私たちの「漢魂プレミアムスモーク5種」の番です。

ローマ教皇フランシスコに漢魂プレミアムスモーク5種を説明する株式会社ヒラオ代表の中岡
2018年9月12日、ローマ教皇フランシスコに「漢魂プレミアムスモーク5種」を直接ご説明しました

私は、

「日本人が長生きなのは、美味しい魚をたくさん食べているからです。パパさまも、日本の美味しい魚介類の燻製を召し上がって長生きしてください」

という思いをお伝えしました。

さて。

ここで、あの桐箱の中に忍ばせておいたお皿とフォークの出番です。

パッケージを開け、

「さあ! 召し上がれ!」

漢魂プレミアムスモーク5種を皿に盛り付けた料理イメージ

……と、できるはずもなく(笑)。

結局、お皿とフォークは桐箱の底に忍ばせたまま、一緒に献上してきました。

思いのほか長く時間を取っていただいたため、一般謁見の開始時間が迫っていました。

最後にもう一度、一人ひとりと握手を交わされたローマ教皇は、そのまま急いで一般謁見へ向かわれました。

実際にお会いしてみると、とても穏やかで親しみのある雰囲気の方でした。

ガイドさんが、

「人気のあるパパさまですよ」

と話していた意味が、よく分かりました。

そして、そのガイドさん。

部屋を出た後、ローマ教皇からいただいたメダルを見せると、ようやく私たちの話を信じてくれました。

喜んで写真を撮っていた姿も、今ではよい思い出です。

特別謁見でローマ教皇フランシスコからいただいた記念メダル
特別謁見でローマ教皇フランシスコからいただいた記念メダル

これで、もう思い残すことはありません。

今回の特別謁見の様子は、当時のVatican Newsでも紹介されています。

2018年9月12日、ローマ教皇フランシスコは「天正遣欧使節顕彰会」の一行と面会され、この席で翌年の日本訪問への希望を表明されました。

そして実際に翌2019年11月、フランシスコ教皇はローマ教皇として38年ぶりに来日されました。

▶ Vatican News公式記事はこちら(英語・特別謁見)

▶ Vatican News公式記事はこちら(日本語・ローマ教皇訪日)

※ローマ教皇の発言は重く、また、「希望の述べ方」によって実現させたい度合いが変わるそうで、この時の言い回しは何としても実現させたいという強い意志を表すものだったそうです。

天正遣欧使節顕彰会とローマ教皇フランシスコの特別謁見を報じたイタリアの新聞記事
特別謁見について報じたイタリアの新聞記事

ローマ教皇への献上から、現在の「漢魂」へ

以上が、「漢魂プレミアムスモーク5種」誕生からローマ教皇への献上までのお話です。

この経験をきっかけに誕生した「漢魂」は、その後も多くの評価をいただきました。

2020年には「漢魂スモークかんぱち」が全国水産加工品総合品質審査会で農林水産大臣賞を受賞。

漢魂スモークかんぱちが受賞した全国水産加工品総合品質審査会の農林水産大臣賞の賞状
2020年、「漢魂スモークかんぱち」が全国水産加工品総合品質審査会で農林水産大臣賞を受賞

2021年には「漢魂プレミアムスモーク5種」が、日本ギフト大賞2021 都道府県賞 大阪賞を受賞しました。

日本ギフト大賞2021都道府県賞大阪賞を受賞した漢魂プレミアムスモーク5種
2021年、「漢魂プレミアムスモーク5種」が日本ギフト大賞 都道府県賞 大阪賞を受賞

宮崎のカンパチから始まり、生産者の方々や多くの関係者とのご縁によって、海を越えてバチカン市国へ届けられた燻製。

その時に誕生した「漢魂プレミアムスモーク5種」は、現在も燻製専門店Kaoriでお求めいただけます。

燻製専門店Kaoriで販売している漢魂プレミアムスモーク5種のギフトセット

ローマ教皇への献上品として生まれた、日本の魚介の燻製。

ぜひ一度、味わってみてください。

→前編を読む

この記事を書いた人

中岡正三

(年齢:60代 出身:高知県) 水産系の大学を卒業後入社、工場長を務めたのち2003年より代表就任。美味しいものづくりにこだわったヒラオの味をKaoriでお届けします。学生時代はアーチェリー部に所属、ゴルフを経て現在は釣りに没頭中。